この映画から自分が感じた禅の真髄

　当初、「禅の真髄」この題名を取るのはちょっと偉そうな口調ではないかと心配していて、もっと考えれば、この映画のおかげで自分が禅に対して、深い理解を得ました。だから、今ご覧になった通り、この題名を決めました。
　実は、この映画を見ることにしたのはただ一つの偶然でした。仏様に縁があるかもしれないと、そう思いました。私はノイローゼにかかって、不眠症に苦しんでいるのはもう八年になりました。人生にはいくつの八年があるのでしょうか。今まで過ごした歳月に幸せということをほとんど感じたことはありません。どのように苦しかったのか、悲しかったのか、私と同じ状態に陥ったことがある人だけ、理解してくれると思います。
　昨日の夜、私は深夜まで起きていて、この映画を見ました。自伝ではないですが、主人公である道元様と禅との一生を述べることを通じて、禅の真髄を見せました。禅と言ったら、すぐ座禅を連想する人は少なくないでしょう。実は、禅の真髄は座禅することだけで得たものではなく、日常生活の隅々にあるので、この真髄を体得できるかどうかはあなたの悟り次第です。
　水商売をしてろくでなしの旦那さんを養うオリンさんは自分の子供に死なれてから、人生は儚いものだと分かって、最終に得度することにしました。彼女は座禅する時、「日常の生活を完全に離れ、いままでかかわってきたものをすべて捨てる。よいとか、悪いとかの考えを捨て、考えること、あるいは、悟ろうとすること、一切の人や思いを巡らすことをやめるのだ。これを非思量という。悟りを目的に座禅するのではない。只管打坐、そのものが悟りである。」道元様はそう言ったことがあるのを覚えています。
　恐縮ですが、私にしてみれば、実は、禅や仏様は私たち自身の心にあるのです。具体的な言葉で説明すれば、禅というものはすべての雑念を完全に離れ、清浄潔白の心境なのです。このような心境を持ったら、仏法の真理を悟ることができます。皆さん、あるがままの真実の姿で行きましょうか。
　生死について。道元様の言った通り、「悪をなせば、悪の報い。善をなせば、善の報い。死が訪れる時、政治で貴顕力も、親しき人も、莫大財宝も、決して自分を助けてはくれません。ただ、一人で死んでゆかねばなりません。」私もずっとそう思っています。中国語に「殊途同归」という成語があります。「道は異なるが、着く所は同じ」という意味です。この道理がよく分かれれば、不要な執着を離れられます。
　最後に、道元禅師の言葉でこのコメントを終わりにさせていただきます。「春は花　夏はほととぎす　秋は月　冬雪さえてすずしかりけり」。
　以上でした。